Etsyが創るEコマース 3.0「Discover」と「Engagement」がソーシャル時代のスタイル

Handmade Portraits: Liberty Vintage Motorcycles from Etsy on Vimeo.

(だいたいこんなこと言っています→)深刻な不景気や海外情勢、さらに今アメリカが直面している最大の問題は「産業の空洞化現象 (deindustrialization) 」なんだよ。。俺は、25年間メカニックとして生きてきた。そして、いつもバイクに魅力を感じていた。・・・そしてそれが理由で、今の俺には明日が見えないんだよ。ビンテージバイクはすごくスタイルが良くて、品格があるんだよ。そしてもちろん、クソカッコイイじゃないか。俺が小さい頃なんて、チャンスがあればバイク屋で働きたいと思っていたよ。バイク業界でバイクに囲まれて暮らしたいと思っていた。でも今の子供たちはどうだい?一切興味なんて示さないだろ。いや、俺の一つ前の世代も俺と同じことを言ってただろうけど、バイクを作る技術のある人が、どんどん少なくなっていっているのは事実なんだ。そんな中、俺は、明日が見えなくなっちまったんだよ。「俺の次」っていったい誰がやるんだよ。でもな、毎日この場所に来てるけど、未だに自分がここで働けているなんて信じれないね。200台ものバイクに囲まれてるなんて。お金はないんだよ、お金は本当にない。でも確実に言えることは、お金ができればもちろんもう一台バイクを買うね。しょうがないんだよ。衝動的になるぐらいバイクが好きなんだよ。「俺には、本当に、バイクしかないんだよ。」

 by Adam Camer

フィラデルフィアのあるメカニックのショートフィルムでした。日本にも伝統工芸品という地方独特の文化を体現した作品が数多くあります。しかし、認知の低い伝統工芸品は忘れ去られつつあります。今日は、そんな深刻な状況の中に、このスタイルが打開策になるんじゃないか、と思うECサイトのご紹介をさせて頂きます。「Etsy」です。

Etsyってなに?

ざっくり言うと「ハンドメイドの作品を、買えて、売れて、購入者と直接コミュニケーションが取れる」オンライン通販サイトです。え、それ人気なの?という話なのですが、2005年以来売上は成長し続けていて、2008年には$27M調達したりだとかヤフー幹部がわざわざ転職してくる、超注目されているサイトなんです。アマチュアからプロまでが思い思いの作品を出店し、世界中の人が購入しています。出品料は、アイテムひとつごとにたった20セントしか取りません。データで表すと、こんなかんじ。

・ユニークビジター:6,643,064

・ページビュー:21,321,273

by compete (2011/04/05)

Etsyの掲げているミッションは「人がモノを作って生計を立てることができるようにし、製作者と購入者をもう一度つなぎあわせること」で、ビジョンは「新しい経済の仕組みをつくり、よりよい選択肢を示す」こと。ミッションとビジョンを追い求め続けている、ほんとうにリスペクトしているサイトの一つです。実は、上の動画はEtsyのPRのひとつで、これらのメッセージがいっぱい詰まっていたのです。他の動画も必見なので是非。Etsy on Vimeo

Etsyがつくる、Eコマース 3.0

Eコマース 1.0 がAmazon.comや楽天の「これを買った人はこちらも購入しています」系だとして、Eコマース 2.0 がTechCrunchの読む通り Groupon StoreとDeal Feed で店舗がソーシャルグラフを利用して潜在顧客の獲得に汗水を流すスタイルだとすると、Etsy発の「Discover&Engagement」のスタイルがEコマース3.0の姿です。間違いなく。Etsyについて特筆すべきところは、常に新しいコマースの形を模索している点。ざっくりご紹介します。

Etsy Community:Etsyで作品を出店しているクリエイターが先生となってコミュニティー内で、作品教室を開いて購入してくれたお客さん、もしくは作品に興味をいだいてくれているビジターとリアルタイムビデオチャットでコミュニケーションができます。大学の講義みたいなかんじで、「どうやってこの作品が生まれたか」という授業もあります。

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Gift ideas for Facebook Friends:Facebookとコネクトして、友達のプロフィールから好みを選り分け、数ある作品の中から自動的に20作品程度を選んでくれます。これが結構当たるんです。。ぜひやってみてください!

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Colors:「自分の好みの色」にテーマを絞って、分類された作品を自分で発掘することができます。忠実に一色に絞って、全く趣旨のバラバラな作品が選ばれる点も斬新です。

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と、これだけではなく、Amazonのような従来の購買履歴から趣味嗜好をパーソナライズして商品をレコメンドしてくれる「Find Gifts」や、「Explore Treasure(たから探し)」というEtsyユーザーが各々の好みに作品を分け集めたキュレーションサービスも展開しています。

「Discover」と「Engagement」がEコマース 3.0の姿

以上のとおり、Etsyは「Discover」と「Engagement」に注力をしているような印象を受けました。実際に、「Gift ideas for Facebook Friends」を利用して、友だちの誕生日プレゼントを探していてみたのですが、友人の趣味である「カメラ」に付ける、ピンク色の「ストラップ」が選ばれました。(本人にぴったりだったので即購入。)これからの小売の時代は、ほしい商品をAmazonで検索して商品をオーダーするというものではなく、濃いソーシャルグラフの広がった世界では、自分好みのもの or 友人の好きなものを「発掘(Discover)」して購入する時代にシフトしていくのだと、ぼくは考えています。(さすがに、AppleのMacBookが欲しい人は検索をして商品を探します。極論を述べるつもりはなくて、もちろん従来の検索→購入のプロセスと共存します。)たとえば、4sqなどを使って特定の場所でチェックインすると、あなたのソーシャル上の活動から趣味嗜好を選り分け、周辺のあなたの好きそうなお店が提供している特別クーポンや、限定品購入の権利の発掘だったり、Etsyのように、バーチャル上の「自分の好みに合った」情報を効率よく発掘するというものかもしれません。さらに言うと「スターバックスでチェックインすれば、iPhone 5 の情報を断片的にもらえる。チェックインして得られる情報が、「ひとつの場所に限りひとつ」であれば、デマを流す人がいたりするので「リアルでクローズド」なつながりで集めようとする→話題になる」とかとか。ちょっと脱線してしまいましたが、いずれにしても「ソーシャル×発掘」の図式は非常に興味深い、とぼくは考えています。

「Engagement」に関しても、Etsyは色濃く出ていました。「自分の作ったものを売りたい」という人と、「人と違うものがほしい」という人をマッチングさせる。そして、販売者と購入者の間に生まれた「接点」に対して、もう一度アプローチできる仕組みをEtsyは見出そうとしている。その接点に「キズナ(Engagement)」が生まれれば、後はそのキズナを育てる(購入者と販売者がもっと仲良くなる)だけで新商品を出せばファンに買ってもらえる、という土壌ができる。大好きなラーメン屋の、しかもよくしゃべる店長の考案した新メニューがあれば、どうしても挑戦してみたくなりませんか?Etsyの場合は、その土壌を育むためのツール(Etsy Community)が充実しています。他とは違った目新しい商品が買えて、かつ購入者とオンラインでコミュニケーションが取れる。Etsyには変わった商品も多く、心配しなくとも自分の好みのものが必ず見つかります。そういう意味では、購入者と出店者は「共通の趣味(インタレストグラフ)」を持っているとも言えるので、そのキズナを密にする「場」と「コンテンツ」を提供できれば、そのつながりはより濃くなり「リアルでクローズドな」キズナに様変わりするでしょう。たまたま入ったラーメン屋にホレこむ → 大将のつくったコミュニティーに登録 → オンラインで「あの絶品とんこつスープはこうして作られる!」という講義を大将と話し合いながらできる → もしかしたら新メニューの開発までできるかも?というイメージ。(伝わるのかこれでw)要するに、バーチャルなつながりも、歴とした「リアルでクローズドなつながり」に成り得る、と言えそうです。

おわりに

最後の喩えで、Etsyの魅力のすべてを台無しにした気がしますが、ぼくの力不足で「Etsyの良さが伝わってこないよ!」という場合は、ぜひ一度Etsy.com訪れてみてください。そして、実際に体験してみてください。きっと、楽天やAmazonでは味わえない感動に出会えますよ。

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最後に、「それってFacebookPageでできんじゃねーの?」と思われた方もいらっしゃると思うので、かなりエナジェティックなEtsyのファウンダー Rob Kalin の「Facebookには提供できないEtsyの価値」についての発言を引用して終わります。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

“市場(マーケット)とは、対話だ。Etsyの場合は、誰かが誰かから物を買うとき、そこにどんな会話があるのかを知りたい。Facebookのメッセージは<結びつき>と<共有>だけだが、Etsyではそれにさらに<交易行為>が加わる。つまりEtsyでは、単純に人と人の関係ではなく、物を売る人と、その人から物を買う人との関係があり、そこに、ソーシャルな会話を育てなければならない。ユーザが品物を検索する場合でも、うちの場合は必ず、人と物だけでなく、人と人との関係が存在する。それがまさに、Webのパワーだ。アリストテレスの言葉として’人間は政治的動物である’という言葉を学校で教わるが、実はそれは誤訳であり、実際には’人間はポリス(polis, 都市国家)を作る動物だ’と彼は言ったはずだ。つまり、人間は村を作る生き物であり、ほかの人たちの結びつきたいと願っている生き物なのだ。”

by Rob Kalin via TechCrunch

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